薬剤師部会
国際レベルのあらゆるスポーツにおけるドーピング行為は1999年11月に設立された世界ドーピング防止機構(WADA)が監視しています。2003年にはスポーツ界の世界統一基準である、世界ドーピング防止規程(WADA code)を発効し、禁止される薬物は、この世界基準の禁止表が利用されています。以降、禁止表は毎年改訂され現在に至っており、日本では2001年に日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が発足し、国体を始めとする国内競技にも監視・適用されています。
ドーピングはスポーツ競技において重大なルール違反です。さらに、選手の健康自体にも影響を及ぼす可能性のある危険な行為にほかなりません。また、私たち薬剤師としては医薬品の適正使用の観点からもドーピングは看過することはできません。
その一方で、ドーピング目的で禁止物質を使用するつもりがなくても、市販のかぜ薬を服用しただけでドーピング陽性になることもあります。また、胃腸薬、強壮剤およびサプリメントでも禁止物質を含むものも少なくなく、「かぜ気味だから」「胃が痛いから」「疲労回復」などと安易に服用してドーピング違反と判断され、重い罰則が科せられてしまう例が散見されます。これを「うっかりドーピング」と呼んでおり、日本のドーピング違反の特徴でもあります。
このような「うっかりドーピング」を防ぐために2009年1月、日本アンチドーピング機構(JADA)に日本薬剤師会が協力して、「公認スポーツファーマシスト認定制度」が誕生しました。
私たち、公認スポーツファーマシストは、最新のドーピング防止規則に関する正確な情報・知識を持ち、 競技者を含めたスポーツ愛好家などに対し、薬の正しい使い方の相談、指導および薬に関する講演会などを開催し、健康教育などの普及・啓発を行い、スポーツにおけるドーピングを防止することを主な活動とします。
薬剤師の資格を有し、所定の課程を修め、JADAより認定される資格制度です。現在、全国で約6000人の薬剤師が認定を受けています。本県では42名の認定者中27名が相談に応じておりますが、残念ながら県内のアスリートの皆様に認知いただくにはまだまだ時間がかかる状況です。
制度発足から5年と歴史が浅く、県民の皆様へ具体的な活動をお知らせできるまでに至っておりませんが、スポーツドクターの皆様との連携を深めることで、青森県のアスリートからは決してドーピング違反を出さないことを願い、普及啓発活動に取り組んで参りますのでよろしくお願いします。